相続財産の確認に使える4つの照会制度

亡くなった方がどのような資産をお持ちだったかを把握することは、相続手続きと相続税申告の出発点です。

残された通帳や郵便物を探し、把握することになります。「どの金融機関に口座があるか分からない」「生命保険に加入していたか分からない」「紙資料がどこにあるかわからない」と途方に暮れてしまうこともあるでしょう。そのような際に活用できる照会制度を紹介します。

相続財産と照会制度

以前のコラムで触れた統計上の相続財産割合に、それらを把握するための制度を追加しています。カバーする範囲が広く、心強い制度です。

資産統計上の相続財産割合把握のための制度
現金、預貯金等37%相続時預貯金口座照会
宅地23%所有不動産記録証明
有価証券13%登録済加入者情報の開示請求
家屋、構築物5%所有不動産記録証明
生命保険金等5%生命保険契約照会
その他17%
100%

従来は、通帳、郵便物、証券会社からの通知、保険証券などを一つずつ探しながら確認する必要がありました。現在でもここから始まることは変わりませんが、一通り探し、限界を感じたらこれらの制度を利用しましょう。

限界も理解しておきましょう。現金、動産、非上場株式、借地権、未登記の不動産、外国株式のみの証券口座、ビットコインのような暗号資産などは、これらの手続きでは把握できません。

4つの照会制度

預貯金、不動産、有価証券、生命保険のそれぞれを把握する制度を紹介します。左側にそれぞれの制度でわかること、右側にわからないことをまとめています。

①預金:相続時預貯金口座照会
  • 金融機関名
  • 支店名
  • 預貯金種類
  • 口座番号
  • マイナンバーと紐づいていない口座
  • 口座残高
  • 入出金履歴

②不動産:所有不動産記録証明
  • 亡くなった方が所有権の登記名義人として記録されている不動産
  • 登記に反映されていないもの
  • 借地権
③有価証券:登録済加入者情報の開示請求
  • 口座が開設されている証券会社、信託銀行等の一覧
  • 非上場株式、外国株式、国債、社債のみの口座
④生命保険:生命保険契約照会
  • 亡くなった方が保険契約者または被保険者となっている生命保険契約の有無
  • 生命保険協会に加盟していない保険会社との契約

制度の限界と対応

この4つは心強い制度ですが、限界もあります。

一番の留意点は預貯金口座です。「相続時預貯金口座照会」はマイナンバーと紐づいている口座に限られます。現状の多くの口座はマイナンバー普及前から使っている口座でしょうから、この制度で把握できるもののほうが少ないかもしれません。生前にどの金融機関に口座があるかだけでも共有しておくとよいでしょう。

有価証券は多くの方が行っている国内の上場企業中心の運用であればほぼ口座を把握できるでしょう。漏れてしまうものは、ほふりの制度外である「外国株式・債券」「国債・社債」のみを運用する証券口座、ビットコインのような暗号資産、非上場株式です。これらも生前に証券口座や保管場所を共有しておくとよいでしょう。

時間についても留意が必要です。書面でのやり取りとなり、回答までに数週間から1か月以上かかることがあります。相続税の申告・納税期限は、通常は亡くなられた日の翌日から10か月以内です。亡くなられた直後は葬儀等で動きが取れず、その後この制度で資産を把握してから遺産分割協議を開始すると考えると、意外と時間がありません。
財産の把握が進んでいない場合は、これらの制度利用と並行して税理士へ相談することをお勧めします。当事務所では、すべての資産を把握していない段階でご相談いただいて問題ありません。

また、費用がそれぞれ数千円かかります。詳細は以下の参考URLにてご確認ください。

各制度の参考URL

参考コラム